<WSET Level3>トカイ(Tokaj)地方と甘口ワイン「トカイ・アスー(Tokaji Aszu)」

トカイ(Tokaj)地方と 甘口ワイン トカイ・アスー(Tokaji Aszu)

トカイ地方

トカイ地方は、スロヴァキアとの国境近く、ハンガリーの北東部にあるカルパティア山脈の麓に位置する。貴腐ブドウから造られる甘口ワインや、レイトハーヴェスト甘口ワインと辛口ワインが人気。

気候とブドウ栽培

気候は温和。最良の畑は丘陵の南向き斜面にある。ボドログ川ティサ川とその支流が、貴腐の発生に必要な早朝の霧をもたらしている。

ワイン醸造とワインスタイル

生産者は、貴腐の発生具合によって、幾つものスタイルでワインを生産する。
収穫時にブドウが三種類のカテゴリーに分けられる。
・貴腐ブドウ
貴腐が畑に広く発生している場合、数回に分けてアスー(aszu)と呼ばれる貴腐の影響を受けたブドウだけを収穫する
・貴腐が発生していない房
貴腐ブドウとは別に摘まれる
・貴腐が部分的に発生しているブドウを房ごと摘む
これをサロモドニと言う。

トカイ・サモロドニ(Tokaji Szamorodni)

サモロドニとして収穫されるブドウを使用する。
貴腐ブドウの含有量によって、辛口や甘口になる。
貴腐を含んだブドウを収穫しているので、辛口ワインでも、貴腐の特徴があらわれる。
ワインは大樽で最低1年は熟成され、販売まで2年かかるが、多くのサモロドニはこれより長い熟成期間を経る。

トカイ・アスー(Tokaji Aszu)

使用品種

フルミント(Furmint)

醸造方法

貴腐の影響を受けていない健康なブドウでベースのワインを造る
発酵前、発酵中、発酵後のいずれかのタイミングでベースとなるワインに貴腐ブドウを漬け込む。この浸漬処理は一般に12〜60時間行う。

熟成方法

漬け込まれてふやかされた貴腐ブドウとベースとなるワインの混合物を圧搾したあと、できたワインを一定期間オーク樽で熟成させる。

ワインスタイル

典型的なトカイは深い琥珀色をしていて、高い酸味と強い芳香を持ち、オレンジピール、アプリコット、ハチミツの風味を有する。糖度が高いものほど、凝縮された強い味わいがある。

トカイ・エッセンツィア(Tokaji Eszencia)

エッセンツィアはアスー用のフリーラン果汁のみで造られる、非常に希少なワイン。
マストが非常に甘いことから、発酵に数年かかる。発酵後もアルコール度はかなり低いままである。
最低残糖量は450g/ℓと法律で決められている。
ワインスタイルは非常に高い酸味と甘味のバランスを保っており、凝縮された風味のワイン。100年以上の長期熟成でもフレッシュな味わいを失わない。

2013年以降トカイの甘口ワイン法

タイプ名残糖度アルコール度数熟成期間
エッセンシア450g/L1.2〜8%樽熟成18ヶ月
トカイ・アスー120g/L以上9%樽熟成18ヶ月
サモロドニ9g/L(辛口:サラーズ)樽熟成6ヶ月以上
45g/L以上(甘口:エーデシュ)樽熟成6ヶ月以上

ブドウ品種

フルミント(Furmint)

最も広く栽培されている。
甘口のアスー(Azsu)ワインの主要品種として使用される。
凝縮感があり、非常に高い酸味の白ワインを造る

タイトルとURLをコピーしました