リオハとリベラ・デル・ドゥエロ、自然要因とワインスタイルの違い
スペインで欠かすことのできない品種といえば、テンプラニーリョ(Tempranillo)。
高品質なテンプラニーリョが生産されている地域とそのワインスタイルは絶対に書けるようにしておきたいトコロです。
を細かくおさえましょう。
合わせてスペインのワイン法もおさえておく必要があります。
また、同じテンプラニーリョから造られる、早飲みタイプのシンプルワインホーベンHovenについて、その製法「半炭酸ガス浸漬法(Semi-carbonic maceration)」も出てきます。
テンプラニーリョ(Tempranillo)
スペインを代表する黒ブドウ品種。
果皮が厚く、中程度の酸味を持つ品種。
果皮が厚いということは、風味を発達させるには十分な温かさが必要。
しかし、高温すぎる場所では、酸味のバランスが欠けてしまう。
日較差が必要で、夏の暑さが緩和される場所が最適な栽培地。
それが「リオハ」と「リベラ・デル・ドゥエロ」
ということになる。
リオハ(Rioja)
リオハ(Rioja)は、スペインで一番上級な格付けDOCaを持つワイン。DOCaを持つワインはリオハとプリオラートだけである。
そのリオハは、エブロ(EBRO)川上流に位置し、ログローニョを中心に、特徴的な3つの地区に分かれる。
リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)とリオハ・アルタ(Rioja Alta)
2地区とも、ログローニョの西側に位置するが、リオハ・アラベサはエブロ川の北側、リオハ・アルタは規模が大きくなり、エブロ川の南側に位置する。
- 海洋性気候の特徴が少しある
- ブドウ畑は標高500〜800m ★標高があるので、夏は少し涼しく、酸味が落ちない
- 大西洋からの雨混じりの湿った風をカンタブリア山脈が守ってくれる
- 夏は南西のデマンダ山脈がメセタから吹く熱波を防いでいる
より冷涼な西の場所(リオハ・アラベサとリオハ・アルタ)では、テンプラニーリョが向いている。
リオハ・オリエンタル(Rioja Oriental)
ログローニョの東側、エブロ川の南に位置する。
- 海洋性気候の特性は薄れる
- 夏は暑く冬は寒い
- 年間降水量が少ない ★干ばつが問題になる
東側(リオハ・オリエンタル)は、暑く、降水量が少ない環境のため、ガルナッチャ(グルナッシュ)が向いている。
→テンプラニーリョはブレンドに、赤系果実の風味と中程度のタンニンを加える。
→ガルナッチャはブレンドに、ボディとアルコールを加える。
さらに、補助品種としてグラシアーノ、マスエロが栽培されている。グラシアーノは凝縮された黒スグリ、ブルーベリー、ブラックベリーなど黒系果実のアロマ、酸味、タンニンをワインの骨格に与える。マスエロは、酸味、色の濃さ、タンニンを加える。
リオハの醸造とワインスタイル
長期熟成の高品質ワイン
長期熟成用のワインは通常、徐コウ、破砕処理と、伝統的な発酵方法で造られる。
オークを使った凝縮感の高い熟成価値のあるワインを生み出す。
しっかりと抽出を行い、果実味の豊かなワインを造るために、果帽管理を積極的に行う。
マセラシオンを長くする生産者もいれば、繊細で上品なスタイルのワインを造る生産者も多い。
伝統的にはアメリカンオークを使用し、ヴァニラやココナッツの強い香りを持つワインもあるが、近年はフランス産のオークを使用してより繊細に香辛料の香りをワインに加えている。
早飲み用のワイン
新鮮な赤系果実、ストロベリーの風味と少量の滑らかなタンニンを持つワインを造るために、半炭酸ガス浸漬法(Semi-Carbonic Maceration)が用いられることがある。
これは若飲み用のワインで「ホーベン(Hoven)」と呼ばれ、非常に人気が高まっているスタイルになっている。
スペインのワイン法
スペインのワイン法では、PDOワイン、PGIワインの格付けだけでなく、「熟成基準」も具体的に定義されている。
グラン・レゼルバクラスになると、総熟成期間が5年以上となり、さらにリオハなどの一部の地域では、規定よりも長い熟成期間が定められている。
赤 | 白 | |||
総熟成期間 | 樽熟成の期間 | 総熟成期間 | 樽熟成の期間 | |
グラン・レゼルバ | 60ヶ月以上 | 18ヶ月以上 | 48ヶ月以上 | 6ヶ月以上 |
レゼルバ | 36ヶ月以上 | 12ヶ月以上 | 24ヶ月以上 | 6ヶ月以上 |
クリアンサ | 24ヶ月以上 | 6ヶ月以上 | 18ヶ月以上 | 6ヶ月以上 |
ホーベン | 0ヶ月 | 0ヶ月 | 0ヶ月 | 0ヶ月 |
リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)
リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)は、DOクラスではあるが、リオハと並び、テンプラニーリョから高品質なワインを生み出している。
リベラ・デル・ドゥエロの栽培環境
ドゥエロ川流域に位置しており、メセタの中にある。山脈に囲まれているため、海洋性による影響から遮断されている。
- 山脈に囲まれているから海洋による影響から遮断される
- 夏は短く暑い、冬は非常に寒い
- 標高の高い場所にある
- 1年を通じて夜間の気温が下がる ★夜間はブドウの成熟がゆっくりで酸味を保持できる
リベラ・デル・ドゥエロの醸造とワインスタイル
多くのワインメーカーは、長期間にわたるマセラシオンを行い、オークの新樽で比較的短期間ワインを熟成させることにより、ブドウが持つ凝縮された果実風味、色素やタンニンを強調させようとしている。新樽のオークは、アメリカ産よりもフランス産のものが使われるケースが増えている。
練習問題
長期間にわたるマセラシオンを行い、オークの新樽で比較的短期間ワインを熟成させることにより、ブドウが持つ凝縮された果実風味とタンニンを強調させようとしている。
1:リオハ・アラベサ
ログローニョの西側、カンタブリア山麓のエブロ川北岸に位置する。
ぶどう畑は、南向きの高い斜面上、標高は500〜800のところに作られている。
ワインスタイルは最も軽く、上品になる。
2:リオハ・アルタ
ログローニョの西側、大半はエブロ川の南に位置する。
標高は500〜800のところに作られている。
1,2は、夏は南西のデマンダ山脈が熱波を防ぎ、冬は北のカンタブリア山脈が北西風を防ぐ。雨に恵まれた温暖な気候のもとでワインが造られている。
3:リオハ・オリエンタル
ログローニョの東側、エブロ川両岸に位置する。
山脈から遠ざかるために、平地が多い。
海洋性気候の特徴が薄れ、大陸性気候に近く。
夏は暑くなり、冬の寒さは厳しい。降水量は少なくなり、干ばつが問題になることがある。早飲みタイプから長期熟成タイプまで様々なワインスタイルがある。
早飲みは、半炭酸ガス浸漬法を用いて、生き生きとした赤系果実の風味と低レベルの滑らかなタンニンを持つ。
長期熟成ようのワインは通常、除梗・破砕処理を行う伝統的な発酵が行われる。抽出をしっかり行い、色が濃く果実味豊かなワインを作るために、果帽管理を積極的に行い、マセラシオンを長くする生産者もいる。