<WSET Level3>発泡性ワイン

発泡性ワインは、かなりの確率で出題される、超重要な項目です。
まずは、伝統的方式(Traditional Method)をしっかりと、説明できるようにしてから、他の生産方法について、伝統的方式と違う部分を押さえていくと、スムーズな気がしました。

発泡性ワイン

伝統的方式(TraditionalMethod)

ベースワインの製造

ベースとなるワインを造る。通常はステンレスタンクを使用するが、製造者によってはオーク樽を使用する。まろラクティック発酵も生産者のスタイルによる。

ブレンド

生産者は、以下の3つの理由でワインをブレンドする。
特定のハウススタイルワインを目指す。
ワインのバランスを向上させる。
ワインに複雑さを増す。

アルコールの二次発酵

ブレンドが完了すると、少量のリクール・ドゥティラージュ(ワイン、糖分、酵母、酵母の栄養分、清澄剤)を加え、ボトルに詰められ栓をする。
低温の状態でゆっくりと発酵が始まる。
アルコールが1.2〜1.3%上昇し、酵母により生成された炭酸ガスがワインに溶け込む。
ボトル内は5〜6気圧の圧力が生まれる。

酵母の自己分解

アルコール発酵が終わると、酵母は死滅し、オリとなって沈殿する。
数ヶ月たち、死んだオリは自己分解を始めて、ワインの中に放出される
これによりトースト、ビスケット、パンの風味をワインに与える
酵母の自己分解は、4-5年、長くて10年続く。
ワインをオリと接触させておくことにより何年間もワインが新鮮に保たれる。

ルミアージュ(動瓶)

一定の期間が過ぎると、沈殿したオリをルミアージュと呼ばれる作業で、キャップについたプラスチックカップに移動させる。
ルミアージュは、水平になった瓶をピュピトルと呼ばれる棚の穴に入れ、毎日ゆっくりと回転させて徐々に瓶を垂直(逆さま)の状態に持っていく。手作業では8週間かかる。最近ではジロパレットと呼ばれる機械で行い、数日間で作業完了する。

デゴルジュマン(オリ抜き)

動瓶が完了したら、逆さになった瓶の首を超低温の塩水につけ急速冷凍させる。
瓶を回転させ、栓を取り除くと、炭酸ガスの圧力によりオリが飛び出す。
その後、リクール・デクスペディシオン(ワインと糖の混合物)を注ぎ足し、瓶内熟成される。
リクール・デクスペディシオンで加えられる糖の量により、ワインの甘味が決まる。
また、リクール・デクスペディシオンは、ハウススタイルを決める第二のブレンドとも言える

瓶内熟成

ルミアージュやデゴルジュマン、文章で説明されても、イメージがつきにくいですが、映像で見ると一目瞭然。この動画を参考にさせてもらいました。

伝統的方式により造られるワインが、ブレンドにより果たす役割3つ

1、ハウス・スタイルの維持。
異なる畑や品種、ビンテージのワインをブレンドすることで、収穫年ごとに変動があっても、一定の品質・味を維持できる。
2、ワインのバランスの向上。
ブレンドにより、ワインのバランスを向上させる。例えばシャルドネは柑橘系の風味を加えたり、ピノ・ノワールは赤系果実の風味、ボディに重厚感を加える。
3、複雑さの向上。
古いリザーブワインを加えて、ドライフルーツの風味を持たせたり、オークたるで熟成させたワインをブレンドに使用することでワインに複雑な風味を持たせたりすることができる。

伝統的方式を採用している発泡性ワイン
・シャンパーニュ
・CAVA
・南アフリカの「メトード・キャップ・クラシック」

トランスファー方式

トランスファー方式は、伝統的方式を応用しており、動瓶(ルミアージュ)とデゴルジュマン(オリ抜き)の工程を省いたものである。
動瓶の前段階までは伝統的方式と同じだが、その後、瓶内のワインを全て密閉タンクに入れられ、オリ抜きが行われる。オリ抜きして、リクール・デクスペディシオンが添加されて、新しいボトルに再び瓶詰めされる。
トランスファー方式によるメリットは伝統的方式よりもコストを抑えて良質な発泡性ワインを造ることができること。
大量のワインを一括で処理されるため、品質が一定に保たれることである。

タンク方式

伝統的方式では瓶内で二次発酵を行うが、タンク方式は、二次発酵をタンク内で行う。
第一の果実風味を維持したい発泡性ワインを造るのに適している。
瓶内二次発酵よりも、低コストでできるが、上質のブドウを使用し、生産工程で細心の注意を払うことで、質の高い発泡性ワインを製造できる。

一次発酵はブドウが持つアロマを保てるように、ステンレスタンクで行われる
通常マロラクティック発酵や、オークでの熟成は行わない。

糖分、酵母、酵母の栄養分、清澄剤がワインに加えられ、密閉タンクで二次発酵が行われる。

ワインを濾過して、オリが取り除かれ、瓶詰めされる。
オリとの接触時間が短いため、酵母の自己分解による風味がつくことはない。

タンク方式を採用している発泡性ワイン
・プロセッコ

アスティ方式

発泡性ワインの主な産地

シャンパーニュ

シャンパーニュ地方の気候とブドウの酸味、糖分

冷涼な大陸性気候。
そのため、この地域では最も温暖な年でさえ、ブドウの糖度は極めて低いままで、酸度は非常に高くなる。
しかし、一方でブドウはしっかりと熟し、糖度と酸度の変化とともに、ゆっくりとブドウの風味も変化し、青臭い草の特徴はなくなる。

シャンパーニュに使用されるブドウで必要な条件を3つ

①糖度が低くなければならない
二次発酵でアルコール度が1.2~1.3%上昇するため二次発酵前のベースとなる辛口ワインは、10~11%程度のアルコール度の低いワインでなくてはならない。
②高い酸度が望ましい
高い酸度によって、すっきりしたスタイルのワインを造る。
③酸味は高く、糖度は低いが、ブドウが十分に熟している必要がある。
ブドウが十分に熟していない場合、ワインに青い草の香りが残ってしまう。

シャンパーニュの主なブドウ品種3つと、メインの栽培場所とブレンドの役割

シャルドネ
コート・デ・ブラン。
高い酸味、華や柑橘系の香りを加える。

ピノ・ノワール
モンターニュ・ドゥ・ランスとコート・デ・バール。
ワインにボディと、赤系果実の風味を加える。

ムニエ
ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌ。
ワインに果実風味を与える。若いうちに楽しむワインには重要な品種となる。

タイトルとURLをコピーしました