<ワイン雑学>初心者のための「シャンパーニュ基礎知識」

ワイン

シャンパーニュはなぜ高い!?シャンパーニュの歴史から、人気銘柄まで、シャンパーニュに強くなれる雑学

ポンっ!シュワシュワ〜
きめ細やかな泡、黄金色したシャンパーニュは人々を優雅な気分にさせてくれます。

お祝いの席に華を添えてくれるシャンパーニュ。

シャンパーニュってどうやって生まれたの?
どうやって造られるの?
なんでシャンパーニュは高価なの?

シャンパーニュにまつわるさまざまな知識についてご紹介します。

「シャンパーニュ」「シャンパン」「シャンペン」どれが正しい?

はてさて、「champagne」というこちらの単語。
「シャンパーニュ」「シャンパン」「シャンペン」
いろいろな呼び方がありますが、どれも間違いではありません。
「champagne」の綴りをどう読むかの違いだけです。
「シャンパン」は日本ならではの呼び名で、最も正しい呼び名は「シャンパーニュ」。
フランスのシャンパーニュ委員会でも「シャンパーニュ」と言う呼び方を奨励しています。
英語読みだと「シャンペン」となります。
ここでは、正式な呼び名「シャンパーニュ」で統一します。

そもそもシャンパーニュとは?

「シャンパーニュ」はシャンパーニュ地方で、定められた製法で造られるスパークリングワインのこと。

シャンパーニュ地方でのみ造られ、原産地呼称法(AOC法)による厳しい規定をクリアしたもののみが「シャンパーニュ」と名乗ることができます。
(*AOC法=フランスで、ワインやチーズなどの食品で特定の条件を満たしたものに付けられる品質保証)

例えば、日本のワイナリーで、スパークリングワインを造って、ボトルに「champagne」と記載して売ろう!としたら、罰せられる。日本語での記載も禁止。「日本のシャンパン」とか、「シャンパン風の」というような表現もできない。

シャンパーニュは、パリから東に140kmほどに位置するシャンパーニュ地方で造られています。
そう、「シャンパーニュ」は産地の名前であり、発泡性ワインの名前でもあるのです。

シャンパーニュ地方は、フランスのワイン産地の北限に位置し、年間平均気温は11℃の非常に冷涼な大陸性気候。
その冷涼な気候が、シャンパーニュに欠かせないキレのある酸をもたらし、白亜質と呼ばれる水捌けの良い土壌から、他では真似できない独自性を持つ魅力的な発泡性ワインを生み出しています。

シャンパーニュはなぜ高価なの?その製法を知れば高いのが納得!?

さて、シャンパーニュは他のスパークリングワインと比べて、高価で特別なイメージがありますよね。なぜシャンパーニュは高価なのか?その製法について見ていきます。

収穫は手摘みのみ

シャンパーニュ地方では、房の状態で収穫することが義務付けられています。
機械で房ごと収穫することは難しく、事実上、手摘みでの収穫となります。
シャンパーニュ地方の全てのブドウを収穫するのに、のべ12万人の人員を要します。

圧搾したぶどうから搾っていい果汁量が決められている。

ブドウ4000kgから2550Lまでしか絞ることができません。
それ以上搾られた果汁はシャンパーニュの原料として認められないのです。
さらにその中で、最初に絞られた2050LをCuvée(キュヴェ)といいます。
高級シャンパーニュには「プレステージ・キュヴェ(Prestige Cuvée)」と呼ばれる高級ラインがあるのですが、このシャンパーニュは、このCuvée(キュヴェ)のみを使用して造られています。

アッサンブラージュ(ブレンド)

まず、普通にスティルワインを造るのですが、
シャンパーニュはそこからもうひと手間も、ふた手間もかけて完成します。

スティルワインが造られた後、ワインはブレンドされます。
これは「アッサンブラージュ(Assemblage)」と呼ばれ、バックヴィンテージのワインを膨大な量をストックし、それらをブレンドすることによってメゾンごとの個性が生まれます。

大手の生産者たちは、何十ものワインをブレンドしており、このブレンドは、各自のハウススタイルを決めるものであり、メゾンの歴史、品格、財力の結晶ともいえます。

2回発酵させる「伝統的方式(Traditional Method)による製法

そうしてブレンドされたワインに、酵母と糖分を混ぜたものが一緒に加えられ、瓶詰めされます。

これは、シャンパーニュ地方で使われてきた専門用語で「リクール・ドゥ・ティラージュ(liqueur de tirage)」と呼ばれています。

瓶詰めされたワインは、瓶内で二次発酵をはじめます。
リクール・ドゥ・ティラージュにより、瓶の中で再び発酵が起こり、炭酸ガスが発生します。
王冠で栓をされたワインは、炭酸ガスの逃げ場がないため、ワインの中に溶け込みます。
この炭酸ガスが、シャンパンの泡の元となります。

15ヶ月以上の瓶内熟成規定

瓶内で二次発酵が完了すると、瓶内熟成の工程に入ります。
瓶内熟成は、15ヶ月以上と定められており、ヴィンテージシャンパーニュ(ヴィンテージシャンパーニュについては後から紹介する)では、36ヶ月以上と定められています。

この瓶内熟成は、シャンパーニュにとって最も重要な期間と言えます。
瓶内熟成の期間中、瓶内で何が起こっているのでしょうか?

発酵が終わると、酵母が死滅し、オリとなって瓶の中に沈澱します。
数ヶ月経つとこのオリは自己分解を始めて、化合物がワインの中に放出されていきます。
これを「イースト・オートリシス(yeast autolysis)」と言います。
この化合物により、ワインはまろやかになり、パンやビスケットなど、酵母の複雑な風味がシャンパーニュにもたらされます。
この風味こそがシャンパーニュを「特別なもの」とさせている1つの要因と言えるでしょう。

通常、イースト・オートリシスは、4〜5年、長くて10年続く場合もあります。
この期間が長いほど、強い酵母の特徴を発達させます。そのため、多くの生産者が、この瓶内熟成の期間を規定をはるかに超えて、長期間ワインを熟成させています。
ポテンシャルの高いワインは10年、20年と熟成してからリリースされることも。

動瓶とオリ抜き

一定の熟成期間を過ぎたら、沈澱したオリを取り除く工程に入ります。

ピュピトール(Pupitre)と呼ばれる穴の空いた棚にボトルを1本づつ水平に刺し、ボトルを毎日優しく少しずつひねる動作を繰り返し、徐々にビンを垂直に近づけていき、倒立させます。
これは多大な労力が必要で、昔は全て人の手により行われており、完了までに8週間かかっていました。現在はほとんどのワイナリーで機械化されていますが、手作業で行っているメゾンもあります。

動瓶により瓶の口に集められたオリは、オリ抜きと呼ばれる作業により取り除かれます。
瓶の首の部分を、マイナス27度の液に浸し、瓶口をオリごと凍らせ、王冠型のキャップの栓を取り除くと、炭酸ガスの圧力により、凍ったオリが勢いよく飛び出します。
現在この工程は自動化され、ほんの数秒で行われていますが、手作業でのオリ抜きにこだわる生産者もいます。

そしてワインは、最終的な糖分調整(ドサージュ(Dosage))が行われ、コルクが打栓され、ドサージュにより加えられた糖分がワインに溶け込むまで熟成され、ようやく出荷されます。

このように、シャンパーニュは、その労力を惜しまず、手間と時間を存分にかけ造られた、
技術の結晶と言えます。

シャンパーニュ誕生秘話

シャンパーニュが生まれたフランス、シャンパーニュ地方では、紀元前4世紀ごろにワインが飲まれていたと言われていますが、当時の代表的なワインは赤ワインでした。最初からシャンパンを造っていたわけではありません。

シャンパーニュ地方は、緯度が49度。日本では樺太付近と同じ。
ブドウ栽培北限ギリギリ、年間平均気温は11℃の寒冷地です。
そのため、ブドウは成熟が難しく、糖分が少なく、ただの酸っぱいワインしか造れなかったのです。
そこで登場するのが、あまりに有名な「ドン・ペリニョン」です。
ドン・ペリニョンは、人の名前で、シャンパーニュの地位を確立させた人物と言われています。

ドン・ペリニョンはシャンパーニュ地方の修道士でした。
そのドン・ペリニョンがたまたま、寒さで発酵が止まってしまったワインに栓をして放置しておいたら、春になり再発酵が始まり、泡の出るワインが偶然出来上がったのです。
これがスパークリングワインの起源と言われています。
その後、ドン・ペリニョン氏は欠かすことのできない製造工程、アッサンブラージュの技術を生み出したり、ガラス瓶やコルク栓の導入など、多くの革新をシャンパーニュにもたらし、品質の高いシャンパーニュを造りだしました。

知っていると自慢できる!?シャンパーニュ用語

ここからは、シャンパーニュを語る際によく出てくるワードについて解説します。

「ヴィンテージ」と、「ノンヴィンテージ」

冷涼で気候変動の厳しいシャンパーニュ地方では、毎年一定の品質を保つことが難しいとされています。そのため、各メゾンは過去に収穫したワインと、その年のワインとをブレンドして品質の安定化と、スタイルの一貫性を保っています。
複数の収穫年のワインをブレンドして造られるため、ボトルには収穫年、いわゆるヴィンテージの記載ができません。
これが、各メゾンの主力商品でもある、ノンヴィンテージシャンパーニュとなります。
ちなみに、ラベルには「NV」(Non VIntageの略)と書かれています。

一方、いいブドウが収穫できた年に、その年のブドウだけで造られるものが「ヴィンテージシャンパーニュ」。
当然、ノンヴィンテージより、ヴィンテージシャンパーニュの方が高価となります。
ノンヴィンテージは二次発酵のための瓶詰めから最低15ヶ月間の熟成期間が定められているのに対し、ヴィンテージシャンパーニュは、最低36ヶ月の熟成期間の規定があります。

ドン・ペリでお馴染みの、ドン・ペリニョンは、全て「ヴィンテージシャンパーニュ」です。
特に優良なブドウが採れた年にのみしかドン・ペリは造られないのです。
そのため、ドン・ペリは希少価値が高く、高級シャンパーニュの代名詞として扱われています。

ちなみに、フランス読みでは、ヴィンテージシャンパーニュを「ミレジメ」、ノンヴィンテージは「ノンミレジメ」と呼ばれます。

モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアルノン・ヴィンテージのモエ・エ・シャンドン
「モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアル」
ヴィンテージのモエ・エ・シャンドン
グランヴィンテージ 2013

さらに上のクラス「プレステージ・キュヴェ」

プレステージは「威信」という意味。
その名前の通り、各社が威信をかけてリリースする究極のシャンパーニュで、ハイエンドシャンパーニュと言えます。

 

007にも出てくるボランジェのプレステージ・キュヴェ
「ボランジェ R.D.」

「ブランド・ブラン」と「ブランド・ノワール」

シャンパーニュは、使えるぶどう品種に規定があり、7種類の品種が許されています。
その中でも主要な品種は主に、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3品種で、その中からブレンドされて造られることが多いのですが、「ブランド・ブラン」は白ブドウのみ(原則としてシャルドネ100%)から造られたシャンパーニュです。
一方「ブランド・ノワール」は黒ブドウのみから造られています。

おさえておきたい!世界中で人気のシャンパン7選!!

まずは高級シャンパーニュ

世界で最も有名なシャンパーニュといえばこれ。
ドン ペリニヨン 2012年 白/DOM PERIGNON 2012

スタンダードタイプのドン・ペリ。別名「ドン・ペリ白」と呼ばれる。
最低8年間熟成、ヴィンテージシャンパーニュの熟成規定を優に超える長期熟成を経てリリースされる。
フレッシュな果実にスパイスなどの洗練された気品のあるアロマ。甘く香ばしい焼き立てのブリオッシュやバニラのような風味も魅力。ふっくらとしたボディで、深みのあるタイル。

プレステージ・キュヴェだけを造り続けているメゾン「KRUG」
クリュッグ グランド・キュヴェ 169 エディション/KRUG GRANDE CUVEE 169 EME EDITION

世界のワイン通やワイン評論家たちにも深く愛される、「帝王」の名を持つシャンパーニュ。
400種類以上のワインからアッサンブラージュされて造られる、職人技こだわりの結晶。
淡いゴールドの色合いときめ細かく繊細な泡。熟した果実、ドライフルーツ、柑橘類の芳醇なアロマ、トースト、ヘーゼルナッツ、ブリオッシュ、ハチミツなど、ふくよかで力強く、またすがすがしく優雅な味わいが印象的。
1万円程度で買える有名メゾンシャンパーニュ

ヴーヴ・クリコ
ヴーヴ・クリコ イエロー・ラベル・ブリュット/VEUVE CLICQUOT YELLOW LABEL BRUT

ヴーヴ・クリコの「ヴーヴ」は実は未亡人という意味を持つ。27歳でヴーヴ(未亡人)となったバルブ=ニコル・ポンサルダンは、夫の経営を引き継ぎ、「品質はただひとつ、最高級だけ」という信念のもと、ヴーヴ・クリコを偉大なシャンパーニュ・メゾンへと成長させた。そんなマダム・クリコの精神を引き継ぐ、ヴーヴ・クリコを代表する1本、イエローラベルブリュット。
チェリーやブリオッシュ、ハチミツなどのアロマ、さわやかでフルーティな味わい。酸味と果実味がバランスよく広がり、心地良い爽やかさと際立ったフルーティさが印象的な1本です。

モエ・エ・シャンドン
モエ・エ・シャンドン モエ・アンペリアル/MOET & CHANDON MOET IMPERIAL

世界中で愛され続ける、屈指のシャンパーニュ・メゾン。
1869年の誕生から世界中の愛好家に愛され続ける、フレッシュでエレガントなスタイルの1本。
洋梨や白桃、青リンゴなどの果実のアロマに、白い花やブリオッシュなどのニュアンスの香り。グラスに注ぐと、繊細で豊かな泡が立ち上がります。口に含むと、華やかかつ瑞々しい果実味が広がりエレガントな印象。フレッシュな酸が全体を引き締め、綺麗にまとめ上げています。
テタンジェ
テタンジェ ブリュット・レゼルヴ/TAITTINGER BRUT RESERVE

「シャンパーニュの貴婦人」と称されるシャンパーニュ。繊細な白い花、グレープフルーツ、白桃などの新鮮な果実味、イースト、ブリオッシュ、ハチミツの風味。いきいきとしてフレッシュな印象。軽快でバランスの取れた大変魅力的な味わい。

個性的な味わいを楽しみたいなら

ボランジェ スペシャル・キュヴェ/BOLLINGER SPECIAL CUVEE

男前なシャンパーニュ!?「007」シリーズにも登場するボランジェのノン・ヴィンテージキュヴェ。芳醇で力強い味わいから、男性的なシャンパーニュと言われているボランジェ。ピノ・ノワール主体で造られており、ふくよかさや力強さ、濃密な果実味を加えている。樽熟成へのこだわりも有名で、木樽にて少なくとも3年間澱とともに熟成。複雑なアロマ奥行きのある味わいを生み出している。

ルイナール ブラン・ド・ブラン/Ruinart Blanc de Blancs

ブランド・ブランのシャンパーニュといえばこれ!
シャルドネ100%で造られたシャンパーニュ。「シャルドネの個性」を完璧に表現する、世界最古のシャンパーニュメゾンがつくるブランド・ブラン。先ほどのボランジェとは正反対で、上品で洗練された気品溢れるスタイルのシャンパーニュ。
タイトルとURLをコピーしました