甘口ワイン、WSETLevel3での重要ポイント
特殊なワインに関しての記述問題は、WSET Level3で問われることが多いようです。
甘口ワインも特殊なワイン。甘口ワインの栽培方法、醸造方法、熟成方法について記述でき、最終的なワインスタイル(外観、香り、味わい、品質)を記述できるようにする必要があります。
甘口ワインの醸造
未発酵の糖分が含まれているのが甘口ワイン。いくつかの造り方がある。
アルコールを添加して発酵を中断させる方法
アルコールを添加し、酵母を殺すことで発酵を続けることをできなくする。
ワインの根本的なバランスを変えてしまう
亜硫酸を添加し発酵を中断させる方法
亜硫酸を大量に添加したり、発酵中のワインを冷やすことで発酵を中断させる。濾過処理を施し、残っている酵母を全て取り除く必要がある。その処理後にまた発酵が始まらないように酵母をワインと触れさせないようにすることが大事。
ドイツのシュペートレーゼ(Spatlese)
イタリアのアスティ(Asti)
甘味成分を添加する方法
一部の国、特にドイツで、ズースレゼルブ(Sussreserve)と呼ばれる未発酵のぶどう果汁を加える。
精留濃縮ブドウマストを添加する方法もある。こちらは大量生産される安いワインに少量の風味を加えるために使われる方法。
ブドウの糖分を凝縮させる方法
貴腐(Noble rot)
ボトリティス・シネレア菌により貴腐が起こる。
この菌は、通常灰色カビ病の原因になるが、一定の条件下では貴腐が発生する。
その条件とは
・ブドウが完熟していること
・ぶどうの栽培される地域が、朝のうちは湿気があり霧が立ち込めていて、午後は晴れて乾燥しなければいけないこと
午前中の湿った空気の中でブドウが腐敗し菌糸によりブドウの果皮を破り穴があく。
午後からは晴れて暖かい状態だとブドウの腐敗が遅れブドウから水分が蒸発してさんと風味が凝縮する。また、菌により独特の風味が生まれる。
独特のハチミツ、アプリコット、柑橘類の皮、ドライフルーツのアロマを有する。
トカイ(Tokaji)
ドイツとオーストリアのベーレンアウスレーゼ(Beerenauslesen)とトロッケンベーレンアウスレーゼン
樹の上でブドウを乾燥させる方法:パスリヤージュ(passerillage)
完熟したぶどうをそのままにしておくと、ブドウの水分が抜け始め、樹についたまま干しぶどうの状態になり、糖度が高まる。
秋に乾燥した温暖な環境が必要で、環境が整わないと、灰色かび病を引き起こす。
熟した果実の特徴(ドライフルーツやトロピカルフルーツ)を持ち、口当たりは濃厚。
ワインラベルに「遅摘み(Late Harvest)」と記載される場合がある
収穫後にブドウを乾燥させる方法
収穫したブドウを乾燥させ、水分を抜く。これにより果汁の糖分が凝縮する。これには乾燥した温暖な環境が必要で、腐ったブドウは取り除くようにしないと、腐敗病が広がる。干しブドウの特徴を有する。
イタリアのパッシートワイン(DOCG)など
樹の上でぶどうを凍らせる方法
健康なぶどうを樹に実らせたまま冬季までおくと、気温が氷点下になった際に果肉に含まれる水分が凍る。凍結により、酸味や糖分、風味が凝縮される。この凍結したぶどうを手摘みで収穫し圧搾すると、凍った部分を抽出でき、果汁の糖分が高まる。
純粋な第一アロマが失われないよう、不活性容器を使用したり、マロラクティック発酵しないよう亜硫酸を加えたりしながら醸造される。
カナダのアイスヴァイン