ブドウ栽培における自然被害リスク
栽培時に発生しうるリスクをまとめました。
気温によるリスク
<冬>
・氷点下20度以下になると、ぶどうは枯れてしまう。
・暖冬や、冬がない地域の場合、ぶどうが休眠期間に入ることがないので複数回身をつける場合がある。これは、樹の寿命が短くなったり、ぶどうの品質が悪くなったりする。
・暖冬はまた、害虫がたくさん生き残るので翌夏の機が襲われたりするリスクが高くなる。
<春>
春霜のリスク
春の霜は氷点下の冷たい空気が地面に集まり、地表やブドウの樹にとどまった水蒸気が凍って起こる。新芽や新梢が出てくる時期に春霜が起こると、発芽したばかりの芽や若い新梢が凍ってしまい、枯れてしまう。結果収穫量が大きく減少する。
対策方法
・ヒーター
ヒーターからでる熱が大気の動きを起こし、冷たい空気が一か所にとどまり霜になるのを防ぐ。
・送風機
上から暖かい空気を取り込み地面の温度を氷点下にならないようにする。
・スプリンクラー
ブドウの樹に水を散水する。水が凍るときにブドウの樹の組織から熱が放出されることで新芽や新梢を守る。
・ブドウ畑を設置する位置に配慮する
冷気は低い場所にとどまるため、ブドウ畑を斜面に位置させることでブドウの樹を守る。
さらに冷気を避けるためにブドウの樹を高く整枝する。
<夏>
気温が低いとぶどうが完熟しない。
夏に非常に高温だとぶどうの樹の活動が遅くなり、最終的に活動が止まってしまう。
日照
日照量が少ないことで起こるブドウへの影響
日照は光合成に欠かせない。従い、日照量が少ないと、光合成のスピードが遅くなり、ぶどうが完熟に至らないリスクがある。
特に、開花と結実には日照が必要で、この時期に日照量が少ないと、ブドウが受粉できなくて花が落ちてしまったり(クリュール)、ブドウの実が種子をもたなく、小さくなってしまう(ミルランダージュ)。その結果、収穫量が減少する。
日照が強すぎると起こる問題
ぶどうの日焼けがおこり、ぶどうの果皮に苦みがでる場合がある。
水
ブドウにとって、水は、光合成をおこない、成熟中に果実をふくらませるために必要。
降雨がブドウの生育期にとって望ましくない時期
・開花・結実期:雨で花粉が流されてしまい受粉の妨げになる。その結果、形成される果実の数が著しく減少する場合がある。
・ヴェレゾンがおこり果実の成熟期に入る段階:この時期に雨が多いと、光合成による糖分を、新梢や葉っぱを伸ばす方に栄養を送ってしまうため、果実の成熟にまわらなくなる。
・収穫間近:雨で果粒がふくらみすぎてしまい、風味が弱くなる場合がある。極端な場合は、果粒がふくらみすぎれ破裂し、カビ病をもたらす。
水が極端に不足すると起こる問題
水不足になると、ぶどうは一時的に蒸散を止める(葉の気孔を閉じる)。
これにより光合成が止まり、葉がしおれて果実が成熟できなくなる。(葉の気孔は、水を蒸散させる役割とともに、光合成に必要な二酸化炭素などを取りいれる役目もあるので、気孔が閉じてしまうと、光合成が止まってしまう)
灌漑の種類3つ
点滴灌漑
ブドウの樹それぞれに点滴灌漑を設置し、与えられる水の量をコンピューターで制御する。
リスク>費用がかかる
スプリンクラー灌漑
リスク>水を大量に無駄にする。畑に湿った環境を作り病害のリスクが高くなる
湛水灌漑
お金がかからない。が、平坦な場所でしかできない。